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日本国内で初感染!! アシネトバクター菌の脅威

2010年3月21日
ウサギの顔 薬剤耐性が高く、免疫力が低下した人が感染すると死亡したりすることもあるというアシネトバクター菌の強いタイプのものが、愛知県の病院に搬送された男性から検出されていたそうだよ。
男性は、アラブ首長国連邦で、この細菌に感染したらしい。
アヒルの顔 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とかに代わって、院内感染の主役に躍り出ることもありえるわね。
ちょっぴり不安だわ。
アシネトバクター菌の画像

アシネトバクター菌について

アシネトバクターは「グラム陰性桿菌」に分類される細菌です。
特に医療現場で問題となるのは「アシネトバクター・バウマニ」という種類で、多くの抗生物質(抗菌薬)に耐性を持つ「多剤耐性菌」となった場合に大きな脅威となります。

この菌は土壌や水など自然環境の広範囲に存在し、健康な人の皮膚から検出されることもあります。
湿った環境を好むため、病院内では人工呼吸器や加湿器、水道蛇口などに生息しやすいのが特徴です。

感染経路

健康な人が日常生活で感染することはほとんどありません。
主に「院内感染」が原因で、特に以下の人がリスクになります。

・手術後や重症で体力が低下している人
・免疫力が低下している人
・人工呼吸器や尿道カテーテルを装着している人

このような状況で発症する「日和見感染症」の代表的原因菌の一つです。

主な症状

感染部位により症状は異なります。

・肺炎:人工呼吸器を使用している患者に多く、発熱や痰の増加がみられる
・敗血症・菌血症:血液に菌が侵入し、高熱・悪寒・低血圧など重篤な全身症状を引き起こす
・尿路感染症:カテーテル使用者に多く、発熱や排尿時痛などが出現する

治療

菌の種類や耐性の有無で異なります。
薬が効く株であれば、適切な抗生物質で治療可能です。
しかし「多剤耐性アシネトバクター(MDRAB)」に感染した場合、使用できる薬が極めて限られ、治療はきわめて困難になります。
患者の体力や免疫力に左右され、命に関わる場合も少なくありません。

予防

最も重要なのは感染予防で、とくに病院内での徹底が必要です。

・手指衛生:医療従事者による手洗い・アルコール消毒を徹底する
・接触予防策:感染患者を個室に隔離し、ガウンや手袋を使用してケアを行う
・環境整備:患者周囲のベッドや医療機器を適切に清掃・消毒する

出典 :
Antibiotic resistance determinants in nosocomial strains of multidrug-resistant Acinetobacter baumannii
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18988680/
NIH(米国):"Carbapenem-Resistant Acinetobacter baumannii: Clinical and Molecular Epidemiology from a Thai University Hospital"
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yoken/62/2/62_JJID.2009.152/_pdf
IASR(感染症流行予測調査年報・国立感染症研究所):「多剤耐性アシネトバクター」
https://idsc.niid.go.jp/iasr/31/365/dj3651.html
日本感染症学会「多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策」
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/acinetobacter.pdf

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