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日本上陸のアルゼンチンアリ 生態系を破壊する恐れ

2010年10月29日
ウサギの顔 攻撃性が強く、他種のアリや生物の巣に侵入し占領し絶滅に追い込むことで知られているアルゼンチンアリが東京都内で確認されたそうだ。
93年に広島県で初めて確認されて以来、着々と日本国内で勢力を増しているようだ。
アヒルの顔 まあ、怖い。
「蟻の巣コロリ」買っておかないと。

アルゼンチンアリの恐怖

最初にその名を聞いたとき、私は南米の陽気なイメージを思い浮かべた。
アルゼンチンアリ。
まるでタンゴのリズムに合わせて列をなす、情熱的なアリのようではないか。
しかし、現実は違った。
彼らは静かに、そして確実に、世界を侵略していた。

このアリの恐怖は、その小さな体からは想像できないほど深い。
まず、彼らは驚異的な協調性を持っている。
普通、アリのコロニーは別のコロニーと敵対し、縄張り争いを繰り広げるものだ。
しかし、アルゼンチンアリは違う。
彼らは「スーパーコロニー」と呼ばれる、超巨大な群れを形成する。
ヨーロッパからアメリカ西海岸、日本に至るまで、数千キロ離れた場所のコロニー同士が互いに敵対せず、同胞として協力しあっているのだ。*1

この事実を知ったとき、私は背筋が冷たくなるのを感じた。
一匹一匹は取るに足らない小さな虫だが、彼らは個を捨て、種の意志で動いているかのようだった。*2
しかも彼らは、他のアリを排除していく。
餌場を独占し、地元の在来種をじわじわと駆逐していく。
静かで、無慈悲な侵略者だ。

さらに恐ろしいのは、彼らの「しぶとさ」だ。
殺虫剤に対する耐性を持つ個体が現れ、駆除は極めて困難になっている。
水回り、電気配線、わずかな隙間にも侵入し、まるで建物そのものを乗っ取るかのように繁殖していく。
気がつけば、台所の隅に、浴室の床に、彼らの隊列が伸びている。
そしてそれは、あなたの住む街、家、机の引き出しの奥にも、いつか訪れるかもしれない。

アルゼンチンアリは、我々が思う以上に「身近な異物」だ。
見慣れた住宅街、平和な庭先に、異国からやってきたこの小さな侵略者が潜んでいる。
鳴き声も、毒針も持たず、ただ静かに増殖し、奪い、定着する。
誰にも気づかれず、誰にも止められず。

そして気づけば、その足元に、黒い列が一筋。
アルゼンチンアリの恐怖とは、姿が見えたときではない。
すでに「そこにいる」と知った瞬間に訪れるのだ。(亀吉)

*1 原産地の南米では侵入地ほど巨大なスーパコロニーは形成できず、巣間で争いも生じる。
*2 実際にはコロニー全体として協調行動をとるだけで遺伝的多様性の低さが争いを招きにくくしている。

せっせと働くアルゼンチンアリの画像
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