カリブ海の珍獣 ソレノドン

昨年、数十年ぶりに再発見されて話題になったよね。
見た目は、モグラやトガリネズミに似た姿をしていて、顎の犬歯に溝があって、そこから毒を含む唾液が流れるという世界的にも珍しい特徴をもっているよ。
IUCN レッドリストで絶滅危惧種(EN)に指定されているので、外来種対策や違法伐採の防止などの保護活動の強化が求められている。


キューバソレノドンの再発見(2012年)
かつては絶滅したと考えられた時期もあり、1980年代後半から2000年代初頭にかけて目撃報告はごくわずかでした。
ところが2012年、長年の調査が実を結ぶ成果が得られました。
2012年4月、キューバと日本の研究チームはアレハンドロ・デ・フンボルト国立公園(エル・トルド台地)でオス4頭・メス3頭の計7個体を捕獲・調査しました。
捕獲後は48時間観察したのち、すべて野外へ放獣しています。
さらに、隠しカメラによるモニタリングでも追加個体の存在が確認され、研究者たちは「実際にはさらに多くの個体が生き残っている可能性」を指摘しました。
2012年以前にも、1970年代(1974〜75年)の捕獲例や、2003年に「アレハンドリート」と名付けられた個体の発見例などが報告されています。
この再発見は「毒を持つ原始的な哺乳類が今も生きていた」という衝撃的なニュースとして世界を駆け巡り、科学的研究と保全活動の重要な転機となりました。
特徴
鼻がとっても長く、先端はピクピクとよく動きます。
夜行性で、行動はのんびり。でもちょっと気まぐれ。
毛色は茶色がかった灰色で地味かわいい印象です。
しっぽは長く、毛は少なめ。
前歯ではなく下あごの犬歯から毒が出るのが最大の特徴!
豆知識
キューバソレノドンは学名 Solenodon cubanus。
現存するソレノドン属はキューバ種とヒスパニオラ種の2種のみ。
英語では「Cuban solenodon」や「Almiquí(アルミキー)」と呼ばれます。
毒をもつ哺乳類はごく少なく、モグラの仲間やカモノハシなどと並んで珍獣仲間。
カリブ海の固有種で、島の自然を守るシンボル的存在。
名前の由来「Solenodon」はギリシャ語で「溝(solen)+ 歯(odon)」=「溝のついた歯」。
出典 :
Cuba-Japan Team Finds Endangered Almiquies(Escambray, 2012/04/07)
https://en.escambray.cu/2012/cuba-japan-team-finds-endangered-almiquies/
Solenodon: 'Extinct' Venomous Mammal Rediscovered in Cuba after 10-Year Search(Scientific American Extinction Countdown, 2012/10/11)
https://blogs.scientificamerican.com/extinction-countdown/2012/10/11/solenodon-extinct-venomous-mammal-rediscovered-cuba/
Meeting the mammal that survived the dinosaurs(Mongabay, 2013/10/14)
https://news.mongabay.com/2013/10/meeting-the-mammal-that-survived-the-dinosaurs/