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世界一長い曲 演奏時間は1000年

2014年8月28日

動画 : vimeo.com

ウサギの顔 Longplayer(Jem Finer作曲)は、1000年間途切れずに演奏されるよう設計された音楽作品だよ。
6つの「ソース音源」(20分20秒のチベットのシンギング・ボウルによる演奏)の転調版を利用し、6つのセクションを同時に再生。
それぞれの開始地点は2分毎に少しずつずらされており、同じ組み合わせが重なるのは1000年後になるようアルゴリズムが設計されている。
アヒルの顔 現在も途切れず演奏が続いているってこと?
ウサギの顔 ロンドンのTrinity Buoy Wharf灯台をはじめとする数か所の拠点と、オンラインストリーミングを通じて、1999年末から継続的に再生され続けているよ。
英国内の「ヨークシャー彫刻公園」や「ホーニマン博物館」や海外にもリスニングポイントが設置されている。
アヒルの顔 なるほどね!建物が修復とか改装したら演奏止まっちゃうものね。
世界のどこか一箇所でも演奏が続いていれば「途切れていない」とみなされるということね。
でも、まさか人間が演奏しているってことはないわよね。
オルゴールみたいな仕組みで機械が演奏しているのかしら?
ウサギの顔 実物のシンギング・ボウルが自動で叩かれているのではなく、サンプリングした音源をPCで合成・再生してスピーカーから流しているよ。
設置されているシンギング・ボウルは象徴的なオブジェだ。
ただし、定期的なイベントなどでは、実際に人が演奏する場合もあるよ。
アヒルの顔 そうなると、一番怖いのは停電やPCトラブルね!
ウサギの顔 その通り。
このため、灯台や主要な拠点に無停電電源装置やバックアップ発電機を設置したり、分散・冗長化されたシステムを組んで管理しているよ。
中心の灯台サーバーが落ちても、他の拠点やクラウド配信に引き継がれることで「音が途切れない」ようになっているとされている。
長期的には「もし電気文明が失われた場合」に備えて、人間の演奏による持続形式についても議論されているくらいだ。
アヒルの顔 人間の価値観の変化、電力インフラの消滅、管理団体の活動停止・・・
他にも懸念点はあるわね。
もし1000年間続いたら、まさにスペースロマンね!
宇宙空間に浮かぶシンギングボウル型の惑星のイラスト画像

【パロディ】銀河鉄道ΡΡΡ 「千年の演奏星」

ΡΡΡ号は、薄紫の星雲を抜けた先に浮かぶ、お椀のような形をした惑星に停車した。
その名は「千年の演奏星」。

駅のホームに降り立った乙郎とヘーテルは、星中に響く一つの旋律を耳にする。
深く低い音色が、まるで大気そのものを震わせるように続いていた。

「この星の人々はね、千年間、一度も途切れず音を奏で続けているのよ。」
ヘーテルが囁く。

街に入ると、何百人の人々が規則正しく輪になり、杖のようなもので地面をこすって音を出している。
この惑星自体が楽器らしく、交代制で昼も夜も休まず音を紡いで演奏しているのだ。

「すごいや。でも、なんでそこまでするのさ!?」
「彼らにとって、これは信仰であり、歴史であり、存在証明なの。
音が途切れた時、彼らは『自分たちの時間も途切れる』と信じているのよ。」

乙郎はもっと近くで見ようと近づくが、足元のコードにつまずいて演奏者の一人を押し倒してしまう。
するとドミノ倒しのごとく、次々に演奏者が連鎖して倒れていった。

音が止まった。
1000年続いてきた演奏が、唐突に。

「な、なんだ!?何が起こった! 」
「誰だ、誰が押した!音が途絶えたぞ!」

住民たちは一斉に怒声をあげ、乙郎を取り囲む。
「こいつだ! 音を絶やしたのはこの異星の少年だ!」
「我らの千年を無にしたのだ! 火あぶりにしろ!」

縄で縛られる乙郎。火を灯す準備をする住民たち。
「うわぁぁぁ!なにをするんだ! ヘーテル!」

駆け付けたヘーテルは冷静に指輪から放ったビームで縄を焼き切り、乙郎を救い出した。
そのまま二人は群衆を振り切り、ΡΡΡ号に向かって走った。

「乙郎さん!ヘーテルさん!早く早く!」ΡΡΡ号の前で車掌が叫んでいる。
発車の汽笛が響き、列車は暗黒の宇宙へと滑り出す。
窓から見える街の広場では、いまだ炎が赤々と揺れていた。

「ヘーテル・・・ぼく、悪いことしちゃったのかな・・・」
乙郎は肩を落とす。

ヘーテルは悲しげな表情を浮かべて、静かに言った。
「人はね、乙郎。
一度始めたことをやめるのが一番難しいのよ。
たとえ、それがもう意味を失っていたとしても。」

星の響きは止んだが、乙郎の胸には重い旋律が残り続けていた。
しかし、すぐにまた新しい旋律が生まれてくるだろう。

銀河にきらめく星々を、人は「宇宙の音符」と呼ぶ。
そして、永遠に思えるものにも終止符がある。
この旅にもいつか終わりが来るのだと、乙郎は思った。

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