異種出産 雄のクローンを生む女王アリ
2025年9月20日
スペイン・イベリア半島に生息するアリ Messor ibericus の女王アリが、「別の種」の雄アリを孵化させることができる、とても特殊な生殖システムが発見されたよ。
――と言われても、いまいちイメージが湧かないわね。例えば、アヒルの私がカルガモの男の子を産む、みたいな感じかしら?
まあ、たとえとしては近いかな。Messor ibericus の女王アリは、別種である Messor structor の雄と交尾して精子を得て、それを保存して自分の卵と受精させるんだ。
ところが、このとき女王アリは卵の核から自分の遺伝物質を取り除いてしまう。
その結果、生まれてくるのは Messor structor の雄そのもの、つまりクローンなんだ。
まあ、不思議。でも、わざわざ他種の雄のクローンを作るなんて、何か意味があるの?
それは、働きアリ(雌)を十分に確保するためだと考えられているよ。働きアリは Messor ibericus と Messor structor のハイブリッド(混血)なんだ。
そして女王アリは自分の種の雄も生み出す。
次の世代の女王を作るには、同種の雄がどうしても必要だからね。
DNAを自由自在に操っているみたいで凄いわね。ただしキメラアントみたいになったら嫌よ。
出典 :
One mother for two species via obligate cross-species cloning in ants
https://www.nature.com/articles/s41586-025-09425-w
These Ant Queens Seem to Defy Biology: They Lay Eggs That Hatch Into Another Species
https://www.smithsonianmag.com/smart-news/these-ant-queens-seem-to-defy-biology-they-lay-eggs-that-hatch-into-another-species-180987292/